Blog

トルコ遠征記(その2)

アンタルヤはこの時期天候が不順であり気温も低く、1週目2週目の15Kでは雨延期・中断に泣かされることも多かった。ただヨーロッパ本土は真冬であり、インドアハードの賞金額の高い試合が組まれているこの期間、ヨーロッパ人の400〜700番台前後の選手がどこを選ぶかと言ったら、飛行機で1,2時間の地中海沿岸の地、日本で言えば冬に差し掛かった程度のアンタルヤを選ぶであろうことは実は明白だったのかもしれない。おまけにコロナ前にはあり得なかった25Kを3週挟む形のスケジュール。そしてレッドクレー。集まった選手達には、一定の特徴があったのである。主に東欧選手、中でも3分の2はキャリア開始間もない勢いのある若手、3分の1はヨーロッパITFで長年戦っているベテランだった。それぞれ得意なのは、勿論クレー。南帆は決してクレーが嫌いではないが、やはり特徴が生きるのはハードコート。現状クレーはどちらかと言えばプレーの幅を広げる、鍛錬の場所かもしれない。励まされたのは同い年のブラックさんや、15Kを優勝するなど健闘したロサ選手(ナダルアカデミーで練習してもらった)の躍進。以前は南帆に戦績では負けていたが、近年の地道な努力で少しずつランキングを上げ、今回南帆を上回っていた。

しかし、南帆は何よりの土産を持ち帰って来た。それは怪我なく、全ての試合を全うしたということである(27試合)。1人で遠征した中で、それは一定の成果と言えるであろう。今後の自信となったはずだ。

南帆は現在21歳だが大学生であり、プロとしてはこれからの選手。ランキングも664位。そこで考えるべきことは、まずはランキングの底上げ。今回の遠征は色々な意味で大変勉強になった(南帆のコラム参照)が、ランキングを伸ばすことは不発に終わった。オーストラリア60Kを例えに出すと、2020年にオーストラリア25Kで対戦して勝った200番台の選手が活躍していた。再戦して必ず勝つとは言えないが、現段階で200番台の選手に勝算があるのはやはりハード、それもアジア・オセアニアのトーナメントであろう。現に2021〜2022年のインド遠征(ハードコート)でも、200番台の選手に勝利している。勿論アジア・オセアニアにも強い選手は沢山いるが、層が厚くプレースタイルもバリエーション豊かなヨーロッパ選手とヨーロッパクレーで対戦するのは、まずは一定のランキングに上げ、ヨーロッパ25Kでしっかり本戦から戦える段階になってからでも遅くはない。

南帆はジュニア時代、それこそ何十カ国と遠征し、各地に友人を作り、トーナメント関係者とも良好な関係性を築いたのだが、プロになってそれがプラスに働いているようである。試合経験値という側面だけではなく、人と人との関わりを大事にしていく人間力が、遠征に継ぐ遠征をこなしていく過酷なプロツアーを生き抜く確かな術になるとTeamNahoは考える。南帆が大学4年間で育んだ内面が、今後プロツアーで生かされることを祈っている。(完)

関連記事一覧